最初に ハガキが 届いたのは 15歳に なった
私の 誕生日 。 10月5日 。

表には " 榎本 柚稀 様 " の 文字 。
裏には 紫の花 、 " カタクリ " の 絵と
小さく書かれた文字達 。
それはそれは たわいも無い 話ばかり 。

『 ユズキ 。 引っ越してから 2ヶ月が 経ちました 。 産まれてから ずっと 近くにいた ユズキが いないと 何だか 寂しいです 。 なんて 改まると 俺らしくないね 。 今日送ったら ユズキの 誕生日に 着くかな ? って 思って 。 』

… から 始まって 近況とかの 報告 … とか 。

差出人は ─── " 広瀬 宰早 " 。 私と 同じ年で
14年間 隣の家に住んでいた人 。
今年の 夏に ここ 関東から 関西に
引っ越してしまった人 。