もう……想いを抑えることが出来ない。


修二くんの穏やかな笑顔が好き。
自分より相手を尊重する優しさが好き。
私よりずっと、大きくて温かい手が好き。
年下なのに、すごく頼りがいがあるところが好き。
男らしい厚い胸板が好き。
想いを、
真っ直ぐ伝えてくれるところが好き。


「……修二くん……」


「何ですか?」


「我儘……言っても……いい?」


修二くんの胸に顔をうめたまま……
今だって十分甘えているのに、
もっと、修二くんの温もりに包まれたい。


「いいですよ、俺が出来ることなら」


「ぎゅって……して。
もっと……強く……抱き締めて……」


想いを伝えず、
こんなこと言うのは、ずるいって分かってる。


数分間のの沈黙が、とても長く感じる。


右肩にそっと触れていた手で引き寄せられ、反対の手も私の背中に回して、強く、抱き締めてくれた。
こんなに切なくて、その切なささえ愛しいと思うほど、修二くんが好き……


「……助けに来てくれて……嬉しかった。
ずっと、修二くんに助けを求めてた。
心の中で……ずっと……」


「うん、遅くなってごめんね」


修二くんの胸から顔を上げ、修二くんを見上げる。


「……修二くんがいいって……思った。
他の人にキスされそうになって……
本当に嫌で……
修二くんじゃなきゃ、嫌だって……
思ったの」


修二くんが驚いて、私を凝視する。


「……真琴さんに、そんなこと言われたら
……いくら俺でも、抑えられなくなる。
でも……弱ってる時に、付け入る真似はし
たくない」


違うよ……
ずるいのも、付け入る真似をしてるのも、
私なの……


「分かってるっ‼全て打ち明ける前に、
こんなこと言う資格……
私にはないんだって‼
修二くんに、想ってもらえる資格すら、
きっと、私にはない……ないのに……
私……修二くんが、好き……他の人じゃ
いや……」


修二くんの服を掴んだ手に力を入れる。
泣くのだって、ずるい。
困らせてしまうって分かってるのに……
あの時すら、
私はあの人に涙を見せなかった……
どうしても、修二くんの前だと、感情を抑えられなくなる。


「真琴さん……俺……真琴さんが心に抱えてい
るもの……今はまだ分からないけど、
真琴さんの過去を知っても……
変わらず、真琴さんが好きだよ。
俺のこと、信じられないなら……
俺を好きだって思う、
真琴さんの心を信じて。
2日続けて泣かしちゃったね、ごめん」


そう言った、修二くんの目にも
涙が浮かんでる。
その優しい涙や想いが、胸を締め付ける。


修二くんの両手が私の頬を包み、
何度も涙を拭ってくれる。


修二くんの脣が、瞼、額、頬に落ちる。


「 真琴さんの全てを、俺が守る。
だからもう、一人で苦しまないで…
真琴さん…好きだよ、心から……」


鼻先が触れる距離で見つめ合う。
修二くんの目、私が映るのが分かる。
目を閉じてすぐに、修二くんの脣が私の脣に触れる。
触れ合うだけのキスの雨を何度も……
こんなに、
幸せを感じるキスを、私は知らない。