GENERATIONS LOVE

それから数十分で、
修二くんは戻って来た。
作りたての、
ボロネーゼのお皿を4皿持って…そのうちの1皿を大ちゃんの前に置いて、


「森田さん、作ってきました。どうぞ」


各テーブルに残りの皿を置いて、修二くんはじっと大ちゃんを見ていた。
ゆっくりテイストする大ちゃん……
あ……今軽く口の端上がった。
それで、大ちゃんが、
小さく笑ったことに気付く。


「皆も食べてみて」


大ちゃんの声を合図に、
皆が修二くんの作ったボロネーゼに、手を伸ばす。


「あ……ドルチェの味……」


香りも味も、全てがドルチェの……
大ちゃんと同じ。


スタッフ全員が、賞賛の声を上げる。


「皆の反応が答えだよ。でも、よく時間の
かかるソース、作れたね」


「圧力鍋お借りしました」


「なるほどね、さすが俺の子」


『看板息子』から『俺の子』
大ちゃんなりの独占欲……なのかも。
言われた修二くんは、困惑しながら、笑ってたけど。


総ちゃんに用があると言って、宴会場を出て行った大ちゃんを見送り、私の隣の席に戻って来た修二くんに、


「気が付いたら、修二くん居なくて……
心配しました」


そう言うと、


「寂しかったですか?」


私の顔を覗きこんで、笑顔でそんな事を言う。修二くん分かってない。
その笑顔は……私の心を揺さぶること。
毎回赤くなる顔をさらけ出したくなくて、


「また、そんなこと言って!
……私 パウダールーム行ってきます」


宴会場を飛び出した。


パウダールームを出て、宴会場へ戻ろうとしたところで、柄の悪い男の人に話しかけられる。


「おっ!?可愛いお姉さんみっーけ‼」


明らかに酔っぱらっている。
構わず、通り過ぎようとしたら、腕を引っ張っられる。


「無視しないでよー‼」


いや……怖い。
修二くんっ‼


ここには居ない彼に、助けを求める。


両腕を力一杯掴まれ、どんどん壁際へ追い込まれる。


「離してくださいっ‼」


助けて……修二くん。


「えーそんなこと、言わないでさー、
仲良くしようよー、お姉さん、めっちゃ
僕のタイプなんだー‼
なんなら、ここでキスしよっかー?
あー、その潤んだ目で見られたら、我慢で
きない」


「いやっ‼やめてっ‼」


こんな人とキスなんてしたくない。
この人じゃないっ‼
私が望む人は……