左手の力を緩め、真琴さんに声を掛ける。
「大丈夫ですか?真琴さん」
俺の胸元の服を震えた手で、ぎゅっと掴んで、俺にしがみついたまま離れない。
「……あー、俺も怖かったですよね……
すみません」
そのままの状態で、首を横に振る。
一向に、俺から離れない真琴さん。
余程、怖い思いをしたんだろう。
男の力に女が敵うわけない。
力で捩じ伏せられて、逃げ場がなければ……
怯えて当然だ。
でも、間に合って良かった。
右手で真琴さんの頭を優しく撫でる。
「……修二くん……」
「何ですか?」
「我儘……言っても……いい?」
俺の胸に顔をうめたまま……
感情が高ぶって、どうしようもない時、
真琴さんは敬語が外れるんだって、
昨日分かった。
「いいですよ、俺が出来ることなら」
「ぎゅって……して。
もっと……強く……抱き締めて……」
真琴さんの言葉を訊いて、ほんの一瞬思考が停止しそうになる。
俺の理性が飛んでしまいそうな、
真琴さんの願い。
俺に抱き締められることを、我儘なんて……
そんな可愛いことを言う。
緩めた左手に力を入れ、もっと真琴さんを引き寄せ、右手も背中に回す。
お互いの鼓動が分かる程近く、隙間が出来ないくらい抱き締める。
「……助けに来てくれて……嬉しかった。
ずっと、修二くんに助けを求めてた。
心の中で……ずっと……」
「うん、遅くなってごめんね」
真琴さんが、俺の胸から顔を上げ、
俺の顔を見上げる。
潤んだ目で見つめられ、くらっとする。
「……修二くんがいいって……思った。
他の人にキスされそうになって……
本当に嫌で……
修二くんじゃなきゃ、嫌だって……
思ったの」
その言葉に、目を見開いて真琴さんの顔を見つめる。
それって……
「……真琴さんに、そんなこと言われたら
……いくら俺でも、抑えられなくなる。
でも……弱ってる時に、付け入る真似はし
たくない」
「分かってるっ‼全て打ち明ける前に、
こんなこと言う資格……
私にはないんだって‼
修二くんに、想ってもらえる資格すら、
きっと、私にはない……ないのに……
私……修二くんが、好き……他の人じゃ
いや……」
さっきより強く、俺の胸元をぎゅっと掴む。
真琴さんの目に、涙が浮かぶ。
大粒の涙が、幾度も頬をつたい落ちる。
今……真琴さんは、俺を好きと言った……
俺の目にも、涙が浮かぶ。
やばいっ‼本気でやばいっ‼
嬉しいのに、切なくなる。
「真琴さん……俺……真琴さんが心に抱えてい
るもの……今はまだ分からないけど、
真琴さんの過去を知っても……
変わらず、真琴さんが好きだよ。
俺のこと、信じられないなら……
俺を好きだって思う、
真琴さんの心を信じて。
2日続けて泣かしちゃったね、ごめん」
泣きながら、ただ俺の腕の中で首を横に振る。
両手で真琴さんの頬に触れ、親指の腹で涙を拭う。拭っても、止めどなく流れる涙。
真琴さんの瞼に唇で触れる。
額にも、頬にもキスを落とす。
「 真琴さんの全てを、俺が守る。
だからもう、一人で苦しまないで…
真琴さん…好きだよ、心から……」
真琴さんの頬に手を添え、鼻先が触れる距離で見つめ合う。真琴さんが目を閉じたのを合図に、真琴さんの脣にキスをする。
ただ……
脣を合わせるだけのキスを、何度も繰り返す。
もっと深く、真琴さんを求めたいと思う欲を抑え込む。
気持ちが通じ合えたばかり……早急に先に進むことより、今を大切にしたい。
真琴さんの心に寄り添いたいから。
他の誰でもなく、この俺が──
「大丈夫ですか?真琴さん」
俺の胸元の服を震えた手で、ぎゅっと掴んで、俺にしがみついたまま離れない。
「……あー、俺も怖かったですよね……
すみません」
そのままの状態で、首を横に振る。
一向に、俺から離れない真琴さん。
余程、怖い思いをしたんだろう。
男の力に女が敵うわけない。
力で捩じ伏せられて、逃げ場がなければ……
怯えて当然だ。
でも、間に合って良かった。
右手で真琴さんの頭を優しく撫でる。
「……修二くん……」
「何ですか?」
「我儘……言っても……いい?」
俺の胸に顔をうめたまま……
感情が高ぶって、どうしようもない時、
真琴さんは敬語が外れるんだって、
昨日分かった。
「いいですよ、俺が出来ることなら」
「ぎゅって……して。
もっと……強く……抱き締めて……」
真琴さんの言葉を訊いて、ほんの一瞬思考が停止しそうになる。
俺の理性が飛んでしまいそうな、
真琴さんの願い。
俺に抱き締められることを、我儘なんて……
そんな可愛いことを言う。
緩めた左手に力を入れ、もっと真琴さんを引き寄せ、右手も背中に回す。
お互いの鼓動が分かる程近く、隙間が出来ないくらい抱き締める。
「……助けに来てくれて……嬉しかった。
ずっと、修二くんに助けを求めてた。
心の中で……ずっと……」
「うん、遅くなってごめんね」
真琴さんが、俺の胸から顔を上げ、
俺の顔を見上げる。
潤んだ目で見つめられ、くらっとする。
「……修二くんがいいって……思った。
他の人にキスされそうになって……
本当に嫌で……
修二くんじゃなきゃ、嫌だって……
思ったの」
その言葉に、目を見開いて真琴さんの顔を見つめる。
それって……
「……真琴さんに、そんなこと言われたら
……いくら俺でも、抑えられなくなる。
でも……弱ってる時に、付け入る真似はし
たくない」
「分かってるっ‼全て打ち明ける前に、
こんなこと言う資格……
私にはないんだって‼
修二くんに、想ってもらえる資格すら、
きっと、私にはない……ないのに……
私……修二くんが、好き……他の人じゃ
いや……」
さっきより強く、俺の胸元をぎゅっと掴む。
真琴さんの目に、涙が浮かぶ。
大粒の涙が、幾度も頬をつたい落ちる。
今……真琴さんは、俺を好きと言った……
俺の目にも、涙が浮かぶ。
やばいっ‼本気でやばいっ‼
嬉しいのに、切なくなる。
「真琴さん……俺……真琴さんが心に抱えてい
るもの……今はまだ分からないけど、
真琴さんの過去を知っても……
変わらず、真琴さんが好きだよ。
俺のこと、信じられないなら……
俺を好きだって思う、
真琴さんの心を信じて。
2日続けて泣かしちゃったね、ごめん」
泣きながら、ただ俺の腕の中で首を横に振る。
両手で真琴さんの頬に触れ、親指の腹で涙を拭う。拭っても、止めどなく流れる涙。
真琴さんの瞼に唇で触れる。
額にも、頬にもキスを落とす。
「 真琴さんの全てを、俺が守る。
だからもう、一人で苦しまないで…
真琴さん…好きだよ、心から……」
真琴さんの頬に手を添え、鼻先が触れる距離で見つめ合う。真琴さんが目を閉じたのを合図に、真琴さんの脣にキスをする。
ただ……
脣を合わせるだけのキスを、何度も繰り返す。
もっと深く、真琴さんを求めたいと思う欲を抑え込む。
気持ちが通じ合えたばかり……早急に先に進むことより、今を大切にしたい。
真琴さんの心に寄り添いたいから。
他の誰でもなく、この俺が──

