頬から手を離した修二くん。
寂しさを感じながらも、恥ずかしさから解放され、安堵した束の間…


何故か私は、修二くんの腕の中…


さっきよりもずっと近くて…
修二くんの心音が聴こえるほど近くて…
抱き締められているのだと、理解するまで
数秒……


え…?え……!?何で……


そう心の中で大パニックになっていると、
頭上から、優しい修二くん声。


「…ありがとう、真琴さん」


そう言って、
修二くんはゆっくり私から離れた。


唯、見上げることしか出来ない私。
何を言えば良いのか、分からない。


数分の沈黙の中…
先に口を開いたのは、修二くんだった。


とても真剣な眼差しで
見つめられる。


「…俺、真琴さんが好きです」


はっきり告げられた、想いの言葉…
嬉しい…
心から嬉しいのに、
その想いを、受け取る資格が
私にはない。


過去に縛られた私は、
一歩前へ進む勇気を持つことは…
出来ない。


信じて…心から信じた人に、
絶望する想い、痛みなんて…


もう2度と繰り返したくない。