それから私たちは、並んで夜道を歩く。
隣の神山さんを…
横からそっと、盗み見る。
今更だけど…
顔…凄い整ってるよね…
外見も良くて…中身もパーフェクトなら…
周りの女の子はほっとかないはず…
それどころか…
彼女がいるかもしれない…
神山さんに愛される女性は
きっと…凄く…幸せなんだろうな…


そういえば…
さっき、話したいことがあるって
神山さん言ってたよね…


「神山さん…お話って?」


「ああ、そうでしたね…来週からですが、
ランチの実習に入ります。
1週間ランチを経験してもらって、
問題なければ、
次の週はランダムにシフトに入り、
晴れて独り立ちです。
オーナーの了承済みです」


大ちゃんが言ってた…
大学生の神山さんは、
平日は夕勤に入ることが多いと…
神山さんの指導受けるのは、
終わりってことかな…
それはやっぱり…寂しく思う。


「そう…ですか…分かりました…
ランチということは、
誰に指導して頂けるんでしょうか?」


神山さんを見上げ、質問する。


「…変わらず、俺が入ります。
再来週のシフトはランダムになるので、
昼、夕で入れない時間帯は、
予め知らせて頂けたら、俺が合わせるん
で…気兼ねなく言って下さい」


神山さんにだって、予定があるはず…
どこまでも私に合わせようとしてくれてい
るのが分かる。


「正直…神山さんに指導して頂けるのは、
物凄く心強いのですが……
大学は…大丈夫ですか?
無理…してませんか?」


そう言うと、何かを思い出したように
神山さんは微笑む。


「大丈夫です。無理もしてませんし、
何より…俺がそうしたいだけなので」


これ以上何かを言うのは
無粋のような気がして…
神山さんの好意を素直に受けとることにした。


「それなら…良かったです!
今後もご指導、宜しくお願いしますね」


「こちらこそ、宜しくお願いします」


神山さんと
今後のことについて話ていたら、
あっという間にマンションに着いた。