昨日のふたりが頭から離れないまま、
朝イチの講義を受けるため、大学へ向かい
一番後ろの席に座る。


「はよ~」


木村の間延びした挨拶に短く返す。
溜め息と共に…


「…はよ…はあぁー」


「って、またかよっ‼今度は何だっ?」


木村に視線を向けて


「真琴と大ちゃんだって…」


それだけで理解した木村は


「…んで?ふたりが今、
お前が想像しているような関係なら…
諦めるのか?」


真琴さんも勿論大切。
森田さんも、俺にとって欠けが得ない人なんだ…


「大切な人達の間を切り裂くことは、
出来ない。お前の時もそう思った…」


俺の返答に 、木村が一瞬黙る。


「…俺は…お前が自分より、相手のことを考
て行動出来るとこ…スゲーって思う。
でもさ、相手を思って…
自分の気持ち捨てんのは、違うんじゃな
い の?
自分を大事にしろって、お前が言ったん
だぜ?」


木村の言葉に伏せていた顔を上げる。
そう…俺が言った言葉──


「奪うくらいの気持ちでいろよ‼
それに…タイムリミット…あるだろ?」


何つーか、3年つるむと、
考えてること、丸分かりになんのな。


「そうだな…木村の言う通りだ…」


「お前って落ちるのも早いけど上がるのも
早いのな?」


いつもの雰囲気の俺に戻ると
途端に茶化し始める。


「悪いかよっ!?」


「神山の人間性が見えて、俺は面白い」


ニヤニヤ笑う木村。


「俺で面白がるなっ‼」


こんな、やり取りが…
ずっと続くような気がしていた…
それと同様に…
この恋心が成就出来るように、
行動起こすのも…限られた時間の中なんだ…