あまりにも無知で、どこまでも純粋なその瞳に、暇潰しだと思えば我慢もできる。

置かれた手を掴み、降ろせば光る瞳。

「信用も、信頼もしない。あなた達に割く心の余裕もないから」

期待など無駄だと言っても、彼には何も聞こえていないのか、口角が上がるのに最早咎める気すら失せる。

その関係はまるで薄氷の如く、叩けば簡単に壊れる代物だ。

あんな想いをもう一度するくらいならば、これくらいの距離感が一番望ましい。

だから――

「私を切り捨てられるようにしておいて」

彼等が壊れないための、大事な忠告。

巻き込むことだけは避けたい。

私にしか聞こえない声で言ったそれに気付く者はいなく、笑っていた。笑わないで、私に笑顔は向けないで。言う勇気もなく、そんなふうに隠したまま私は目を閉じた。