先生が読んでいたものに比べればまだいくらかマシとは言えるが、それでも十分な厚さだ。というか、先生のはあれは異常な分厚さだ。
「篠原さん、篠原さん」
極上の笑顔で手招きする先生に、恐る恐るカウンターへと近寄る。そのまま差し出してきた本を手に取ると、不思議と手に馴染む本。素材はなんだ。
赤い表紙に、金箔文字で書かれた題名は、『共鳴』。作者は『鹿島 誠』と同じく金箔文字が隅に小さく書かれている。
ああ、この人かと腑に落ちる。
メジャーではないけれど、独特な描写と台詞回しで、かといってさほどクセもなく、個人的に好きな作家だ。何冊かこの人の本を持ってもいるので、手に馴染んだのはそのせいだ。
「ご存知ですか?」
まじまじと手の中に収まる本を見ていると、先生が滑らかに視線を落とした。
はい、と答えると彼は目を輝かせて、またカウンターの下へと潜り込む。
「まさか知っている人と会えるなんて、まああまり有名ではないので仕方ないですけど」
「篠原さん、篠原さん」
極上の笑顔で手招きする先生に、恐る恐るカウンターへと近寄る。そのまま差し出してきた本を手に取ると、不思議と手に馴染む本。素材はなんだ。
赤い表紙に、金箔文字で書かれた題名は、『共鳴』。作者は『鹿島 誠』と同じく金箔文字が隅に小さく書かれている。
ああ、この人かと腑に落ちる。
メジャーではないけれど、独特な描写と台詞回しで、かといってさほどクセもなく、個人的に好きな作家だ。何冊かこの人の本を持ってもいるので、手に馴染んだのはそのせいだ。
「ご存知ですか?」
まじまじと手の中に収まる本を見ていると、先生が滑らかに視線を落とした。
はい、と答えると彼は目を輝かせて、またカウンターの下へと潜り込む。
「まさか知っている人と会えるなんて、まああまり有名ではないので仕方ないですけど」

