私の返しに何の不満があるのか、舌打ちをする男達に合点がいく。要は彼らにとって狼嵐とは尊敬する対象であり、私のようなぽっと出の女に気軽に近寄って欲しくないということなのだろう。つまりはファンのようなものだ。

そう一人で納得していると、彼は苛立ちを爆発させたように机を蹴った。

「屋上がどういうとこか、知ってんのか? 知ってて言ってんのか、それ」

クラス中がなんだと見守る中、わざと大きな声で言うあたりが相当面倒くさい。これは喧嘩を売られてんのか。

私は無愛想に、相手の目を見て、というよりも睨んで声を低くする。

「私、昨日転校してきたんだけど」

要は、知るかボケと言いたいのだ。

彼は荒々しくまた机を蹴ると、なら教えてやるよと吐き捨てる。

本当にそういうの要らないし、机蹴るの好きだなお前。

「あそこはなぁ、狼嵐の幹部しか入れねぇんだよ。テメェみてぇな奴がおいそれと立ち入っていいとこじゃねぇんだよ」

親切心ではなく、忠告だ。

その随分と尊大な物言いに、だから三流なのだと自覚をしてほしい。すぐにでも殴り飛ばしてすっきりさせたいが、今は極力目立たないようにしたいのでお預けだ。