埒の明かない悶々とした思いを抱いきつつ、取り敢えずといった感じにベッドから降りようとする。軋むスプリングの音と、はらりと落ちた金色が視界へと入った。考えるまでもなく、それは自分の髪だ。

はたと思い出された、綺麗な金色。確か、修人も金髪であったと、脳裏に浮かぶ綺麗な金色をした修人の細められた赤。

なんで笑うんだ、そこで。明らかに笑いどころなどなかっただろうに、不敵な、ともすれば不気味ともいえるその笑みを思い出す。

しかし、私にその心中を知る由もなく、肩にかかった金色を一房手に取る。

汚い、穢い。なんて、醜悪な色をしているんだ。

一度沢山の血を吸ったこの髪を、綺麗だなんてとても思えない。おぞましくも忌まわしい自身の髪に、吐き捨てるように呟きかける。

「――大嫌い」

意味を込めて染めたはずなのに、その意味を見失ったこの髪。この髪も、あの家も、もちろん自分自身も、みんな大嫌いだ。そこに優劣なぞなく、等しく、すべからく。そんな意味を込めての“大嫌い”。