どうして私のことを断罪しないのか、叫びたくなった。私の犯した罪を知り、その上向ける眼差しは敬意を示すのだ。

彼等の、帰るべき居場所を、護るべき人達を巻き込み、炎と血の海に沈めたそもそもの原因は私だ。

裁け、とみっともなく縋れば楽になれるというのに。

「すみませんでした」

突然恭しく頭を下げられ、混乱するのはこちらだ。

「お嬢が苦しんでいると知っていながら、揺さぶりをかけました。俺は、お嬢に」

「……いいんです」

謝られたいわけじゃない、謝らせたいわけじゃない。

私を思う気持ちが伝わってきてしまうのはどうしようもなく、ならば諦める他ない。

今更だなんてこの人に思うことはきっとお門違いで、単純に、どうして私みたいなのに謝りなんてするのか。不可解なのだ。

彼の旋毛を見下ろせば、艶のある髪が揺れた。

「俺は、お嬢との繋がりはあまりなかったです。けれど、約束したんです」

後悔に揺らいでいた瞳が定まり、上げた顔には決意が宿っていた。