「さあ」
有無を言わせぬ一言に、渋々重い腰を見送ることしかできなかったが、私も後に続いて出ようとする。すると、先生の手が私の肩を叩き、その行動を制止させる。
どうやら私に用があったらしい。
倖にとって、先生は兄弟であり家族だ。それを傷付けた私は、彼に対する罪悪感でいっぱいで顔を見るのも戸惑う。
倖もまた同じようにして保健室を後にしようと、立ち上がり私の横をすり抜けて行く。思わず後ずさる半歩に、自身が恐れているのだと自覚する。
「怒っていませんよ、寧ろ感謝しているくらいですから」
唐突に耳元で呟かれた兄の負傷を喜ぶ声に、慌てて振り向けばいつもより上機嫌な後ろ姿。
詰られこそすれ、感謝されるとは思ってもいなかっただけに驚きも倍増だ。
最後に出た修人は、「また来る」とだけ言い残し、律儀にも扉を閉めて行った。
一瞬の沈黙が場を支配し、空気が重くなるように感じられる。けれど、先生はそんな空気をぶち破るように、柔らかく検証結果とも言えるべきことを宣った。
有無を言わせぬ一言に、渋々重い腰を見送ることしかできなかったが、私も後に続いて出ようとする。すると、先生の手が私の肩を叩き、その行動を制止させる。
どうやら私に用があったらしい。
倖にとって、先生は兄弟であり家族だ。それを傷付けた私は、彼に対する罪悪感でいっぱいで顔を見るのも戸惑う。
倖もまた同じようにして保健室を後にしようと、立ち上がり私の横をすり抜けて行く。思わず後ずさる半歩に、自身が恐れているのだと自覚する。
「怒っていませんよ、寧ろ感謝しているくらいですから」
唐突に耳元で呟かれた兄の負傷を喜ぶ声に、慌てて振り向けばいつもより上機嫌な後ろ姿。
詰られこそすれ、感謝されるとは思ってもいなかっただけに驚きも倍増だ。
最後に出た修人は、「また来る」とだけ言い残し、律儀にも扉を閉めて行った。
一瞬の沈黙が場を支配し、空気が重くなるように感じられる。けれど、先生はそんな空気をぶち破るように、柔らかく検証結果とも言えるべきことを宣った。

