鬼龍総長、鬼麟。それが私、篠原 棗の肩書き――だった。

誰が呼び始めたのか、いつの間にか浸透し、果てには定着までしてしまった通り名。それに誇りはあった。けれど、それをなくしてしまったのだ。

否、なくしてしまったのではなく、正しくはできなくなってしまったのだ。

理由は単純明快。自身の手で汚してしまった。

築いたその名に、汚れ切った私の手はその名すらも侵食し、汚泥の底へと沈めるのに躊躇う気持ちを踏みつけて陥れた。