鈴に嫌われちゃったんだ。

 独りじゃ何してもつまんない。

 お弁当だって美味しくないし、授業だって入ってこない。

 あたしは昔から人と話すのが得意じゃなくて、いつもきついこと言っちゃう。

 でも、鈴は一緒にいて笑ってくれた。

 だから、友達なんて鈴しかいないんだ。

 交換ノートを手に取った。

 鈴が書いたページを開く。





『12月23日 雨
 
 12月25日にクリスマスパーティーしよーね!

 私ん家集合~♪

 絶対だよ!』

 鈴らしい丸っこい字でそう書いていた。

 ホントだ。

 ちゃんと鈴は書いたんだ。

 見なかったから。

 約束、破っちゃった。

 あたしのお母さんはよく言う。

『ルールは、人に迷惑かけないなら少しは破ってもいいけど、約束は絶対に破っちゃだめ。』

 なんかおかしい理屈だけど、あたしはその言葉が好きだった。

 
『校則』なんて言うけど、先生達だって化粧してるし、スカート膝より上だし。

 全然生徒の手本になってないじゃん。

 あたしは、次のページを開いて、ペンを握った。





『12月27日 雪

 約束破ってごめん。』

 短い文章だけど、一生懸命の気持ち。

 明日、一番に渡そう。

 多分、また無視されるかもしれない。

 少し怖いけど、大丈夫。

 だってあたし達、親友でしょ?今でも。