唇が切れ、血が流れる。

そんなヒューの顔を、ディントは嬉しそうに眺めた。

嗜虐趣味があるらしい。

「このミャンマーには数多くの軍閥が乱立して、不安定な政情なのは、この国に入国したのならば知っているだろう?どうせ不正に入国した輩なのだろう、叩けば幾らでも埃の出る身なのは分かっている」

ヒューの頭を抱え込み、絞め上げる。

「連行してじっくり尋問してやる。その取り澄ました面が、泣き面に歪むまでな」

口角がつり上がるディントを見ながら。

「…どう思う」

ヒューはアランに問い掛けた。

「頃合いじゃないか」

答えるアラン。

「…何の話だ」

訝しげな顔で、ディントは2人を見る。

何より、自分に分からない会話をされるのは気分が悪い。

この第360軽歩兵大隊の指揮官をそっちのけで話を進めるとは何事だ。

「俺に分かるように話をせんか!」

もう一度ヒューを殴りつけようと拳を振り上げようとして。

「!?」

アランがその腕を、素早く抜いたソードオフショットガンで吹き飛ばした!

「お前は調子に乗り過ぎたという事だ」