ミャンマー国境付近。

「併列縦隊、5メートル間隔」

分隊長の三浦 和平(みうら かずひら)陸曹長の指示の下、分隊の各隊員達がジャングルを進む。

89式小銃を手にポイントマンとして先頭を進むのは進藤、5.56ミリ機関銃ミニミを持つ豊田 香里奈(とよだ かりな)陸士長は分隊支援火器射手。

劉 麗華(りゅう れいか)陸士長はM24対人狙撃銃を手にライフルマンとして他の隊員の援護だ。

「進藤」

三浦が声をかける。

「復帰して最初の任務だ。無理をするなよ。俺達を頼る時は頼ればいい」

「有り難うございます。でも…」

88式鉄帽を目深に被る進藤。

「今まで新巣鴨プリズンに戦犯として服役して迷惑かけて、その上任務でも迷惑かけるなんて…そんなのできないッス」

「馬鹿ね」

豊田が進藤の背後から頭を小突いた。

「迷惑なんて思ってないわよ。私達分隊は、家族で仲間よ。私は…進藤君が帰って来てくれたのが嬉しいんだから」

「…ウス」

感謝の言葉もない。

進藤は深々と頭を下げた。