これは、医療に携わる者達が決めた『正規の』価格。

高額と取るか安価と取るかは、人それぞれだろう。

移植や手術が必要な者達にとって、それらの人体の部位は、喉から手が出るほどに欲しいものだろう。

しかし値段によっては、とても簡単に手を出せないものでもある。

そういう人々はどうするのか。

少しでも長く生きたい者達にとって、手段を選べないというのも事実だ。

そういう者達に、悪魔は忍び寄る。

…臓器ブローカーという職業がある。

ブラックマーケットに人体を売り捌く、裏社会の商売人だ。

臓器提供にサインしたドナー達の順番が回ってこず、明日をも知れない命の人々に対し、彼らは必要な臓器を売りつける。

違法な手段で手に入れた、善良な人間の健康な臓器を。