「いろいろお訊ねしたいことがあります」

コタツを囲み全員着席すると、何故か梨子がこの場を仕切る。

「まず、自己紹介をさせて頂きます」

要子、梨子と名を名乗り、私も渋々右に倣えする。

「私はミズ・ミミこと奏千草と申します」

奏? 私同様に要子も梨子も気付いたようだ。

「もしかすると奏カナさんの……」
「はい、実の息子です」

ウワッ、隠し子!

「世に知れていないだけで、知る人ぞ知る、公然の秘密です」

初対面の人にまで表情を読まれた?

「どうりで作品の雰囲気が似ている筈だわ」

要子がウンウンと頷く。

「で、どうして女装を?」
「母のためです」

ミミが美しく笑う。

「母は跡継ぎに女の子が欲しかったみたいですが、生まれたのは三人全て男でした」

ヘッ? 三人も隠し子がいたんだ、と要子も梨子も私同様驚いたみたいだ。

「それで子供たちに女装をさせていたのですが……」

それって幼児虐待……? じゃないよね。

「その中で末っ子の私が一番可愛かったみたいです」
「それは災難だったわね」

梨子の言葉にミミは左右に首を振る。

「いいえ、私は嬉しかったですよ。兄たちのお下がりじゃなく、いつも新品の可愛い洋服を着せてもらえて」

見ます? と胸ポケットから財布を取り出すと中から写真を取り出した。
そこに三人の美少女が写っていた。

「これが三姉妹として撮った最後の写真です」

中央に座る超絶美少女、これがもしかしたら千草さん?
完璧に負けた……。

「成長するに従い兄たちは女装を嫌い、それぞれの道を見つけ、長男は経営で、次男は弁護士となり母の手助けをしてきました」