「それで」「それが」「その指輪?」

どこ経由なのかは知らないが、噂を聞き付けた要子に、またもや拉致られ夢子の部屋へ!

スピード社会というが、どれだけ情報伝達が早いのだ!
ネット社会、恐ろしや!

そして、すでにコタツでマッタリしていた梨子と夢子の間に座らされ、左手はコタツ中央へ!

三人の体がグッと前のめりになり、中央に三つの頭が寄り、六つの目が薬指に輝く指輪を見つめる。

「メチャクチャ綺麗ねぇ」

ウットリと夢子が呟く。

「えっと、確か奏カナっていう人のデザインって扇氏が言っていたような……」
「チョイとお待ち!」

要子が言葉を止める。

「確認したいことが二つ。一つ目、今、奏カナって言った? 二つ目、扇氏ってあの幻のセレブ商店街の?」

「はい、奏カナさんです。はい、セレブ商店街と云われるところの扇喜三郎氏のことです」

「嘘ぉぉぉ!」と要子よりも早く夢子が叫んだ。

「あの引退したっていう奏カナ! どうしてあのお方が貴女の指輪のデザインをするの!」

そんなこと言われても……何故でしょう?

「そう言えば、扇氏もそこのところは首を捻っていらっしゃいました」
「もしや姫、貴女、彼女の隠し子とか?」

梨子の言葉に、それは妄想過ぎるとフルフル首を振る。

「あのぉ、申し上げておきますが、指輪は社長の依頼で作られたものです」
「じゃあ、社長が隠し子?」

梨子はどうしても隠し子説を押したいようだ。