「で、どうだった? デートは」

スイーツランドに行った次の日、お休みの私はダラリと過ごしていた。
そこを、梨子と要子に奇襲され、要子の部屋に拉致された。

「早く、早く、聞かせて恋バナ」

梨子は左手にメモ帳を、右手にボールペンを持ち、目を爛々と輝かせ、前のめりに聞く。

くっ喰われる!

「梨子ちゃん、また、小説のネタにするつもり? 姫が怖がっているじゃない」

要子はトレーに乗った日本茶と栗蒸し羊羹を、梨子と私の前に置く。
夢子の部屋がピンクなら、要子の部屋はブルーと云ったところだろう。

こちらも和室を居間として使っていた。コタツの代わりに、テーブルの下には電気カーペットが敷かれていて、お尻の下から温かさがジンワリ伝わってくる。

「どうぞ召し上がれ。頂き物だけど、『桜の何処』の栗蒸し羊羹よ」

さっきとは違う目の輝きを携え、梨子がキャッとピンクの声を上げる。

「あっ、先日、そこの系列店『ぶんぶく茶がゆ』でランチ頂きました」
「うそっ!」

梨子と要子が合唱する。

「まさか、三十食限定『おまかせ、本日のミニ懐石』を?」

梨子がゴクリと唾を飲み込む。

「はい、美味しかったですよ」
「何回目の挑戦で?」
「エッ? この前が初めてでしたが……」

「イーヤー!」要子が突然髪を掻き毟る。

「私、もう十回近く挑戦しているのに、一回も食べたことがない」

ガクリと肩を落とし、グサッと楊枝を羊羹に突き刺す。