「今、生もの? と思っただろ」

おや、貴殿は超能力者?

「超能力者ではないが、お前の考えなど透けて見える」

じゃあ、やはり超能力者じゃないですか! と腕をクロスし何故か胸を隠す。

「バカか、投資はするが透視はできない。まっ、その内、見せてもらいものだが」

ニヤリと笑う社長を睨み付け、何を見せるのだ、とより強く胸を押える。

「まあいい、その話は日を改めてするとして、要するに、金は留まると淀む。清流の如くだ。美しい流れは途切れることなく新たな金を呼ぶ。賢く使えば使うほど、金は入り増えていく」

じゃあ、使えば使う程減るのは私が馬鹿? 使い方を間違っているから?
賢い使い方って、社長みたいな使い方?
イヤ、それは無い! それにランボちゃんを買うお金など無い!

ん? ところで今スルッとスルーしたが、日を改めて、とはどういう意味?

横を見ると社長は、機嫌良くカーステレオから流れるジャズに合わせ口笛を吹いている。

こういう時の社長はイイ男の見えるのだが……。