飲み終わった社長の額に替えの冷却シートを貼る。
「姫、お前も寝るだろ。ほら、来い」
掛け布団を持ち上げ、ポンポンと自分の横を叩く。
一人ゆっくり寝かせてあげたいが布団は一組しかなく、我が家にはコタツもない。致し方無いとコソッと入る込む。
「姫……ありがとう。久々だった、こんな風に看病してもらったのは。嬉しかった」
意外な社長の言葉に、少し照れながら「どういたしまして」と小さく答える。
「温かいな。このパジャマが邪魔だが、お前の体温は伝わってくる」
社長は私を腕枕し、ギュッと抱き締める。
やっぱりまだ熱があるのだろう。この間よりも高い体温を感じながら、彼の腕の中が心地良く、眠気が襲ってくる。
「なぁ、姫、俺はお前のことが心配だし、お前に俺のことを心配して欲しい。だから、一緒に暮らそう」
エッ、と眠気眼を見開き、社長の顔を見る。
今までは社長の億ションに越して来いだったが……いきなり一緒に住もう?
社長は至極真面目な顔で、「なっ、いいだろう」と微笑む。
「社長、熱に浮かされご乱心召されたのですか! 気をしっかり持って下さい」
「いや、正気だが」
「とにかく、今夜は寝ましょう! 熱が下がったらお話ししましょう」
戯言を宣う社長を放置し、私は目を瞑るがドクドクと心臓の鼓動は早くなる。
「まっ、それもそうだな。取り敢えず、寝よう」
社長にも睡魔が襲いかかってきたようだ。
私に気遣ってか、唇ではなく額にキスをすると黙って眠りについた。


