痛快! 病ンデレラの逆襲


十二月は書き入れ時、パーティーに次ぐパーティーの毎日で今日も大忙しだ。
そんな中であっても真梨香様は自己の欲求を叶えようとする。
主任の目を盗み、脇に立ち小声で囁く。

「で、昨日、血が沸騰するほど熱い出来事はあったのかしら?」

ありましたとも、美麗と社長がチューしていました、と言ったら真梨香様のことだ、妄想に妄想を重ね、ドの付くピンクの世界を繰り広げ仕事にならないだろう。

だから……「何も」と答える。

おや、真梨香様、今「チッ」と舌打ちしましたね。
彼女はもう私には用はない、というように持ち場に戻る。

ヤレヤレ、困ったお人だ。

大根を桂剥きしながら、それにしても生々しい夢だった、と今更ながら社長とのキスを思い出し赤面し、ハッとする。

もしかして……こういう状態が欲求不満というものだろうか。
なら、私は欲求不満? と思ったとこでパチパチパチと拍手が起こる。
ギョッと顔を上げると皆が私を注目していた。
何故、欲求不満で拍手が起こる!

「いつもながらお見事!」

ん? と皆の視線の先に目をやれば、手元に残る大根は直径一センチほどとなっていた。

「桂剥きをさせたら右に出る者がいないな。無我の境地っていうのか、凄い集中力だ」

主任の言葉に心の中で反論する。
無我の境地とは悟りの状態のこと。悟りどころかあんなシーンを思い出すなんて……私は煩悩具足の変態だ。

モンモンと落ち込んでいると、その相手が現れる。