「探したぞ……こんなところに寝ていたら、今度は風邪をひく」

誰? お千代さん?
眠いから寝かせておいて。

フワッと体が浮いたような感じがする。
このウッディな香りは……社長?
ああ、夢か……でも社長なら……いいな、嬉しいな。

「……もしかしたら、あれを見たのか」

唇に温かなものが触れる。

「心配するな。あんな一方的なのは事故も同じだ」

フワリと下ろされたのは布団の上? コートを脱がされ、ソッと寝かされる。
毛布と掛け布団を掛けられるが、ヒンヤリとしてブルッと震える。

「寒いのか」

言葉と共に声の主は、私の横にスルリと入り込み腕枕をする。
その主の体温と私の体温が合わさり、ジンワリ温かくなっていく。

「俺を信じろ。愛している……お前しか要らない」

ああ、今度は分かった。
覚えのある唇だ。それが私の唇に何度も重なる。

「早く俺のものになれ」

聞こえる声が切なげで、私まで切なくなる。
だから人生初の告白をする。夢だから恥ずかしくない。

「……私も……好き、社長が……とても……」
「姫……」

声の主が私の名を呼び、狂おしいほど抱き締める。

「姫……姫……愛している」

唇が再び重なり、深まるキスにしだいに息苦しくなり気が遠くなる。

「……夢の中で死ぬのは……本望ではありません」

でも、社長の腕の中で死ねたら、それはそれで素敵かも、と微笑み、そのまま意識を手放す。