痛快! 病ンデレラの逆襲


「殿、ご無沙汰ね」

誰? このフェロモンたっぷりな女王様みたいな人は。
彼女は体に張り付くような深紅の膝丈ドレスを妖艶に着こなし、真梨香様憧れのピンヒールを見事に履きこなしていた。

「ちょっとどいて頂戴」

彼女は社長の隣にいる私をドンと押し退け、社長の腕に腕を絡める。
美男美女の二人が並ぶと壮観だ。
呆気に取られ眺めていると、社長は彼女の腕をやんわりと解く。

「美麗様、申し訳ございませんが彼女を乱暴に扱うのは止めて頂きたい」

社長は私の肩を掴むと引き寄せ腰に腕を回す。

「彼女は私の婚約者ですので」
「婚約者!」

キッと私を睨み付ける美麗。美しい顔の怒り顔は……ムチャクチャ恐い!

「フ~ン、この娘が。まだまだ子供じゃない」

馬鹿にしたような顔で美麗がグッと胸を張る。
ウッ、でかい! ボンキュッボンのメリハリボディー。ナイスバディーだ。
完璧に負けた……と我が胸を見る。

「まっ、いいわ。さっさとパーティーの準備に取り掛かって頂戴」

美麗が言う。
私は社長の腕を抜け出し、お辞儀をし持ち場に戻ろうと踵を返す。

「殿は私とお茶でも」

美麗の声が聞こえ、チラッと見る。
彼女はまた社長の腕を取り、グイグイその腕を胸に押し付けていた。
お似合いの二人の姿に、またモヤモヤが湧き上がる。

見ていたくない。
一歩踏み出した途端、手首が掴まれる。

「俺も一緒に行こう。美麗様、私も今仕事中ですので」

では失礼します、と社長はスルッと腕を解き、私の肩に腕を回すと到着した他のメンバーと合流する。