目覚めると……ウワッ! 社長! 
イケメンのドアップは逆の意味で耐えられない。

グッと目を瞑ると、プッと噴き出す声が聞こえる。
薄目を開けると社長がジッとこちらを見ていた。

「何だキスして欲しいのか?」

慌ててパチリと目を開け、フルフル首を振る。
そして、額の違和感と枕元のペットボトルに気付く。

「……社長、オデコの冷却シートありがとうございます。お水も飲ませてくれたんですね」

「できる男は看病も完璧だ」

とっても偉そうに言いながら、社長は腕に力を入れ引き寄せ頬に唇を寄せる。

「まだ、熱いな」

そして、髪を優しく撫でる。

「姫、弱っているところを申し訳ないが」
「ん? 何ですか社長」
「ちょっと我慢の限界だ。これからキスする」

ハァ? と思っている間に社長の唇が私の唇にソッと触れる。
ドクンと驚き、腕から逃げ出そうとするが彼の力は緩まない。

柔らかな感触が唇の上を何度も行き来し、しっとりと濡れた舌が唇を舐める。
「アッ」と声が漏れると、社長の舌が口内に飛び込む。
父とも母とも違う男の人からのキス。