ガタン、とドアが閉まったあと、廊下を駆けて行く足音が聞こえた。



どうやらミオは、僕…いや、''俺''にまた気付かなかった。



自分でもこれは、矛盾していると思う。



あんな演技をしておいて。



俺は、ミオに''俺''の事を気付いてほしいのか。



いっそのこと、一生気付いてほしくないのか。



なんて考えて、自分で自身を嘲笑う。



そんな事を考えておいて、実際はただ自分が臆病なだけだ。



本当の自分を知ってほしい。それは、俺の確かな願い。



でも、ミオが本当の俺を知って、どう思うのか。



可愛い春くんを好きなミオは、こんな俺を、どう思うのか。