それが私の中学時代。
でも今日からは違う。
桜が満開に咲く春。ついに私は高校生になった。
家からすぐにある公立の高校に入学した。
莉乃は私立の超エリート高校に入った。
私も莉乃と同じ学校に行きたかったんだけどさすがに学力に差がありすぎた。
相川はわからないままだ。
噂では留学するとか言っていたけど噂なんて信用ならないし。
でもそんなのどうでもいい!
今日から私は高校生だもん。恋に友達にバイト…。
青春して学生生活を楽しむのみ!
どうしよう…ちゃんと友達できるかな。
昨日で入学式も終わりクラスも席も分かったから友達を作るのには今日しかない。
漫画では今日でクラスのグループが決まってしまうらしい。
1年4組の前で緊張して手が震える。
ここでも相川と付き合ってるなんて噂が流れていたら友達ができないかもしれない。中学のときもそうだったから。
相川人気だったせいで。
莉乃がいなかったら本当にひとりだった。
なんで弱気になってるんだ!
高校でするために髪もストレートパーマかけた、化粧も薄くだけどちゃんとうまくできている、スカートだって短く巻いてる。
この日のために頑張ったんだから!
カッコよく言ったら。
ここから私の未来の青春の扉なんだから!
思い切って扉を開く。
そして、なるべく自分じゃないぐらい大きい声で挨拶をする。
「おっはよ~!」
私の中で一気にキャラ崩壊。
おまけに最悪。
シーンした空気が教室に漂った。
本を読んでる子、友達と話していた子、寝ていた子までが私の方を見た。
「…すみませんでした。」
ヤバイ…泣きそう、恥ずかしくて死にそう。
自分の席に向かって静かに椅子を引くなり昨日もらった教科書を開く。
特に興味もない難しい数式の書かれている数学の教科書。

ヤバイ…横の子めっちゃ私のこと見てるじゃん!
スタートラインで思いっきり転んじゃったよ〜!
高校生活終了の金が聞こえるよ〜。
「あの…。」
可愛らしい女の子の声がする。
少し高いいわゆるアニメ声と言うやつだ。
って言うか私に話かけてる?
さっきからジロジロ見られてる気がするけど…。
「あの!」
その甲高い可愛らしい声の彼女は私の肩を軽くつつく。
やっぱり私だー!!
「はい!なんでしょう!」
肩をつついてきた彼女の方を見る。
黒縁眼鏡をかけていてその奥のくっきりとした二重まぶたが特徴的な女の子。ちゃんと見ると少しくせ毛なのかフワフワの髪は肩より短く揃えている。
顔のカタチは整っているがあんまり可愛いとは思わない。クールぽくてツリ目で鼻が高くて…そしてオタクオーラが前回だ。
声とのギャップも半端がない。
「それ…。」
「え…?」
彼女が指差す私の鞄には莉乃にもらったウサギのストラップ。
「あのアニメ…見てるの…?」
え…?
もしかして!この子腐女子!!
本当は超パリピグループに入って青春しまくりの予定だったけど…。
ボッチよりマシ!
「アニメは見てないけど漫画読んだよ!すっごい面白かった!」
すると彼女は目をキラキラと光らせた。
莉乃にマジで感謝!
「かっ架純は主人公が好きです!可愛いですよね!憧れです!」
架純とはどうやら自分のことらしい。
「わかるよ〜純粋な乙女な感じ!いいよね〜!それより架純って名前なんだ!可愛いね!私は古宮真姫。1年間よろしくね!」
「はい!篠原架純です!よろしくでふ…かんじゃった…。」
可愛いらしく頬を赤くする架純は…とりあえず可愛かった。
顔のギャップやばっ…。
その子に対する私の第一印象です…。
はい、すみません。