高校1年生になった俺は周りから見たら充実していたと思う。
友達もそこそこ多いし、勉強も運動もそこそこできるし。
でも、俺にとっては楽しくなかった。
全く楽しくなんてなかった。
俺に世界の色は無くなった。
「恭弥!今日の放課後、みんなでカラオケにでも行こうぜ!」
「今日も用事があるんだ。」

学校から電車で1時間乗り継いだところに俺の家がある。
わざわざこんな遠い学校に入ったのには理由があった。
すべてあいつのせいだ。
古宮 真姫。
俺はあいつが嫌いだ。大嫌いだ。
顔は可愛い。ふわふわしていて一緒にいるだけでも和む天然だと隠れて人気はあった。
けど…。
地味で根暗でオタクで友達もいない。
ドジで間抜けで取り柄も特技もない。
一緒にいたくない。
同類と思われたくなかった。
なのに…小学生時代、俺は古宮と付き合っていた。
けど、すぐに後悔した。
クラス中に噂が広まったのだ。
まだ、1週間しか付き合っていないのに。
それでも耐えた。
どこかで好きと錯覚でもしていたらしい。
1ヶ月で学年全体に広まった。
すれ違うたびにみんなに言われてきた。
もう耐えられなくい…。
俺から告って申し訳ない気持ちがあったが
即、別れを告げることにした。
すると古宮はまるで遊びの約束でも断るように『分かった』としか言わなかった。
そしてそのまま去って行ったのだ。
噂では聞いていたが本当に尻軽女だったらしい。
それから一切口を聞かなかった。
俺もあいつのことを忘れて初音と付き合いだした。

しかし、それで終わればよかったものの中学校に入ってもその噂は流れていた。
初音とは1年続いたけどこの噂のせいで別れた。
「真姫、愛してる。」
「私も!あなたしか考えられない。」
クラスの男子はなんて幼稚なんだろう。
「」