ぎくっ

思わず、ゆっくりと美央の後ろへと隠れようとした。

が、

「おはよう小日向」

「お…おはよう…っす…」

何だか殺気が…
恐ろしくて振り向けない。

「昨日」

「……」

「誰が帰っていいって言った?」

「そっ、そんなの勝手じゃないっすか…」

「何、そんなに動揺したの?キスで」

「なっ……!??」


私が振り向くと同時に、回りから悲鳴が上がった。

「……わざとっ!?」

「仕返し」

べーっと舌を出して微笑む先輩が、まるで悪魔のようだ。

怒りがこみあげる…

「なんでそんな偉そうに…!」

「あんたが悪い」

なんつー理不尽な!?

「私、もうお嫁に行けませんよ…」

男に興味は無くとも、結婚くらいはしたかった…

うなだれている私に、先輩は言った。


「そんなん俺が貰ってあげるから大丈夫だよ」



「え…」