「…なんか、思ってた性格と違った…」



次の日、あたしと美佳は気まづくなることなく普通に接している。


昨日の男子は、絶対西谷だった…。




あのあと、美佳は話しかけに行ったらしい。

それで、なんだか軽い感じだったって。



そりゃそうでしょ。

あたしの嫌いなちゃら男だもん。



…それにしても、あんまり落ち込んでないように見えるけど…。




「…でもね!でもね!すっごいイケメンだった!…」

「…やっぱ顔じゃん」



「…まあね…!でも、モデルレベルだよ…?!千弘よりもかっこよかったよ…」



…千弘のこと、一応イケメンって思ってるのね…。





「…ど、どんなだったの?」



…聞いてどうするのか、私にもわからない。

でも、口が動く。




「………」


美佳は黙ってる。

…連絡先聞けなかったのかな?



「…うん。…なんかね、普通に話してくれたんだけど…連絡先聞いたら断られた。」



…断られた…?!
 
あいつ、どうしたの?!



「……だけどね、やっぱりあんな表情してた人とは思えないくらい、軽いっていうか…気力がないっていうか…」

「…」



そこは、あたしも認めます。




「っていうかね!あの人、有名な人だった!!」

「…え?」



「西谷遥斗だよ!うちの高校でも知らない人はいないってぐらい有名だよ?!」

「…へ?!…」



「また話しかけてみよう…♪」



そんな有名だったんだ…。

知らなかった。



…美佳に、あたしとあいつが知り合いだってことが何故か言えない。




「また…会いたい…」



頭の中でその声が響き渡る。



どうしてこんなに美佳への罪悪感でいっぱいなんだろう。

あたしは、あいつとは何もない。



むしろ、嫌い。




なのに、いつも言ってる嫌いな奴がアイツだって…言えないのは…どうして?