そのとき。 あたしは確かに見た。 目のいいあたしは、少し近づいただけでわかった。 あの制服とあの整った顔。 それは…見間違いではないと心臓の音が知らせている。 「なんでっ…」 あたしは小さく呟いて、歩く方向を逆にした。 顔を合わせてはいけない。 そんな感じがした。 「えっ?!…莉子?!」 美佳を残して、歩き続けるあたし。 訳はわからないけど、すごく泣きそう。 そのままあたしは、走って家に帰った。 また逃げた。