「あっ!来た!あの人」
美佳が小さく叫んだ。
急いで隠れて、その人を盗み見する。
反対側の入口から公園に入ったから、顔が全然見えないんだけど…。
失敗だ…。
あ、…あの制服知ってる!
どこの制服だっけ…忘れちゃった。
…ていうか、背が高いから、大学生かと思ったよ!
遠くから見ても、なんかオーラ的なのあるし…。
どうりで、美佳のイケメンセンサーが反応するわけだわ…。
「ほら…!いつもあのブランコに座って、ぼーっとしてるの…!」
…なにかあったの?っていうぐらい動かないその人。
悩みごとでもあるのかな…?
「…あの人のどこが好きなの…?」
あたしは、なんとなく気になって聞いてみる。
少し黙って、美佳がしゃべりはじめた。
「…なんかね、いつも…誰かのことを考えてるみたいなんだ…。大切な人のことを思いながら、時々ちょっと笑ってるの。」
「…ふーん…」
「その顔がね…すっごい優しくて…」
「…それで、いつの間にか気になる存在になってたってこと?」
「うん…」
…いい出会いっていうか…美佳らしいといえば美佳らしい。
「…よし。行こう!」
美佳は勢い良く声に出した。
あたしは歩きだした美佳の後ろをついていく。
なんか、あたしが緊張しちゃうよ…。