「「…はあ?」」
あたしと千弘は呆れる。
あれだけためておいて、それ?!
…聞いてください!
あたしたちが、騒がないのにはちゃんと訳があるんです!
だって美佳はこれまで、イケメンを見つけてはアタックしてるんですよ?!
どうせまた顔だけイケメンでも見つけたんでしょ…。
「もう…美佳…期待させないでよね!?…」
「…ちがうの!今回は…結構本気なの!」
「…。」
…真剣な顔してる…。
いつもなら、目がハートになってるのに…。
軽い気持ちじゃないのかも…。
少し信じてみる気になった。
「どんな人なの?」
あたしかそう聞くと、美佳は顔を真っ赤にした。
「…他校なんだけど…その…いつも同じ場所で見かける人なの…」
他校か〜。
最近はイケメンサラリーマンが好きだったから、安心したよ。
大人と付き合うなんて、大変だもん!
「で?頼みごとってなに?」
あたしにしては冷静だ…。
というか、経験のおかげかな…。
危うく、目的を忘れるところだったよ。
「…あ、あのね!…今日はその人が毎週いるところに行って、話してみたいの…」
へぇ…まだ話しかけてなかったんだ。
肉食系の美佳にしては、珍しい…。
「…しょうがないなぁ…」
「いいの?!」
「まあ!優しい莉子ちゃんが行ってあげようっ!」
「ありがとうございます〜!!」
こういうときだけ、あたしが調子乗ってもおだててくれるんだよね〜。
でも別に嫌じゃないんだけどねっ!
「絶対、連絡先聞いてみせる…!」
意気込む美佳の横で、千弘がため息をついてる。
大丈夫だよ、千弘。
なんだか今回は、ちゃんと本気で相手のことが好きな気がする。
親友の勘ってやつよ!
そうあたしが言う前に、もう千弘はあたしたちに背中を向けていた。
…千弘って、意外と大人だよね…。
少し感心した。

