あたしが尊敬の目で見ていると、先輩が、クルッと体の向きを変えてこっちを見てきた。
「大橋ちゃん!」
「ふ、ふぁいっ!」
…噛んだ。
はい!って言いたかったのに…。
恥ずかしい…。
「はははっ!やっぱ変わってない!…俺のこと覚えてる?」
笑ってる…。
近くで見ると、こんなに輝いてるの…?!
って!それよりも!
…覚えてる?って先輩言ったよね……?
…先輩のことなんて、学校中の人が知ってますよ?!
「俺、大橋ちゃんに会いたくて、ずっと探してたんだよね!」
うそ?!
あたしを探してくださってたの?!
…あたし、今死んでも…本望だ…!
「あ〜やべ!また俺ばっか喋ってんね!じゃあまたあとで〜」
先輩は、風のように友達のところに戻っていった。
あたしは『またあとで』の意味をよく理解してなかった。
それでも、ウインクしてきた先輩の笑顔に心臓がきゅんと音を立てた。

