「…どした?」 足音が聞こえる。 俯いてるあたしには顔は見えないけど、声ですぐにわかる。 千弘ではない…と。 …来ないで…。 あんたなんて、大ッ嫌いなんだから… あたしの心境とは裏腹に、西谷はどんどん近づいてくる。 「…なんか顔あか…」 ーーーダッ あたしは、走り出した。 これ以上…、あんな顔見られたくなかった。 あいつにドキドキするなんて、絶対にあたしが許さない…。 気がつけば、一生懸命走っていた。