「おばさん久しぶり!今日はどうしたの?」
あたしが笑顔で聞くと、困り顔をするおばさん。
「久しぶり、莉子〜実はね…頼みごとがあって…」
…はいはい。
いつものことじゃん…。
おばさんは、何かとめんどくさいことはあたしに頼んでくる。
特に千弘のこととか。
…ていうか、久しぶりに会って最初の会話がそれって…。
まあ、千弘のママだからしょうがないか…。
「…もう!…今日はなにー?」
「あのね〜…あのバカが傘を忘れてんのよ。塾に届けてほしいの!」
両手を合わせて、頼んでくるおばさん。
「……またあたしに面倒くさいことは任せるんだからー…」
「そんなことな……あるわねってことで、頼んだ!」
瑠璃子おばさんは、お客様用のカップに入った紅茶をニコニコと飲んでる。
ほんとにあたしをいい用に使うんだから〜!
どうせ暇人だと思ってるんだ!そうだけど!
でも、千弘に傘届けるだけだよね?
宿題のことばっかりで、傘のこと忘れたんだな〜あいつ〜。
よし…まだ明るいし行こう!
「気をつけてね〜」
ママがお鍋に入ったカレーを混ぜながら、優しい声で言う。
今日カレーなのか!早く帰ろう!
うんうんと一人で力強く頷きながら、玄関を後にした。

