ちゃら男くんの好きな子。





「疲れたあ〜!先生の話、長すぎるよ!」


「そりゃ、森担だからな」


「そーだけどさ〜」




文句を言いながら、落ち葉の舞う通学路を千弘と歩く。

もう季節は秋になっていた。




あたしは、小学校の時から千弘と毎日のように登下校している。

まあ、家が隣だしね。



あたしのお説教が終わるまで待っててくれた優しい千弘さん…。

そういう優しさをいつも出してほしいものだよ…!





「あ、そーいや…塾の宿題やんねーと…」


「まだやってないのー?塾の鬼先生に怒られちゃうよ〜」



「ちゃんとやってくし…あの先生怖えーから。
 
「怖いんだ〜?だっさ〜」




週に3回も塾に通う千弘は、全然頭悪くない。

むしろ、教える側でもいいくらい!



なのに千弘が塾に通っているのは、その塾に他校の親友がいるらしい。

全然会えないと、寂しくなっちゃうんだってさ。

だから少しでも会うためって。



……恋人かよ!!!

思わず、そうツッコんだよ。

千弘には流されたけどさ…。



「ほんとはあいつと一緒の高校行きたかったんだけどさ〜」

「…なによ」



「誰かさんが寂しそうだったからさ〜」

「…あたしのせいって言いたいんでしょ…」



「ははっ…よく分かってんじゃん」

「ひっど!!」



千弘があたしと同じとこに勝手に来たくせに…。

まあ、嬉しいんだけど…。




…あたしも塾行ったほうがいいのかなー?

ふと、考える。




……まあ、いっか!

今は、遊ぼう。青春しよう。



そんな軽い決意をした。