慌ただしく過ぎた午前中。
お昼の休憩タイムをゆっくりと過ごし、ついに''あの''イベントがきてしまった。
「それでは皆さんお待ちかねの〜ミス・ミスターコンの始まりでーす!」
大地先輩の明るい声で、会場は一気に盛り上がりを見せた。
こんなに大掛かりなイベントになるとは…!
さすが大地先輩だよ…。
先輩たちの最後の文化祭なんだから、あたしも司会頑張ろう…!
絶対成功させるんだ!
「まずは1年から!A組の佐々木愛ちゃんです!」
ノリのいい観客と先輩の陽気な進行により、すごい盛り上がりの中進んでいく。
あたし…こんなに大勢の人の前に出なきゃいけないんだ…。
……っ、無理!
「ほらっ!莉子ちゃん!準備行くよ〜」
クラスの子が、ステージの裏まで迎えに来た。
あたし…これから人生初のメイクをするのね…。
「いってらっしゃい!大橋!」
「…〜っ、いってきます…」
なんとも言えない敗北感に包まれる。
どうして嫌だって言えなかったんだろう…。
あの時のあたしをぶん殴りたい。
「よ〜し!気合入れてね!」
「可愛くしてあげるっ!」
…あなたたちのほうが100倍かわいいよ…
あたしなんかよりみんなが出たほうがいいってぐらい、あたしにメイクをするクラスの女子たちはキラキラしていた。
が、頑張れ…あたし。

