そのイケメンはある人と目が合うと、どんどん教室の中に入ってくる。
そして、ある人の前で立ち止まった。
「おい、莉子」
そう、あたしの前です。
「なんだこれ、祭りかよ…お前のクラス」
「…ぶっ…祭り…言えてる。」
紹介します!
この無駄にイケメンなのは、幼馴染で隣のクラスの如月千弘(キサラギ チヒロ)ってやつ。
女の子に結構人気があって、クールとか言われてるらしい。
「…?何こっち見てんだよ。こっわ」
……これのどこがクールなのか全く理解できないけど…。
でもまあ、あたしのお兄ちゃんみたいな存在です。
千弘は暇なときにぶらっとあたしのとこに来る。
隣のクラスだしね。
だから、あたしと千弘が幼なじみだって知らない人のほうが多い。
…だから付き合ってるって噂がたってるのかな…。
ていうか、女の子みたいな名前してるのに…
なんでこんな失礼な男の子になってしまったのかしら…。
こんな子に生んだ覚えはありませんっ!
ってこういう時に言いたくなるんだろうなあ…
「おい、なんか俺のことバカにしてんだろ…」
あ、ばれた。さすが幼馴染だ…。
恐るべし…。
「…じゃあ、俺帰ろ」
なんのために来たのか、よくわかんないけど…まあ、いっか。
騒がれるの嫌いだから、今めっちゃ注目されてるのが嫌なのかも。
「じゃあ、帰り下駄箱な」
「うん!」
千弘は嵐のようにきて、去っていった。

