「おい、莉子ー」
「…」
赤ちゃんに接するように優しい声で呼ぶ。
…うっわ〜。
めっちゃ拗ねてんじゃん…。
俺様とは違い、ガキだな。
あ、俺と比べちゃかわいそうか!
ははははっ!上機嫌、上機嫌!
「もう完全に怒っちゃってるよ?莉子」
「あーあ、どうすんの〜?お父さん〜」
…俺はお父さんじゃねーよ!
莉子のお父さんなんてお断りだね!
全く…希良梨と美佳も結構ガキなとこあるよな〜。
「おい、メロンパンやるから…こっち来い」
でも、俺がそう言うとすぐに笑顔で顔を上げた。
「はぁ…楽勝すぎ…。それでな、お前と話したいってやつがいんだよ…」
「うん〜♪」
鼻歌を歌いはじめた莉子を確認して、あいつらの方を見ると、もうそこにあいつらの姿はなかった。
「ん?!おい?!どこいったんだ?あいつら」
教室の中を隅々まで見ると、倒れ込んでいる男子生徒が二人。
「大丈夫かー?」
近寄ってみると、鼻血を出している。
「か、可愛すぎる…♡」
「あの笑顔だけで…充分だ…!」
…幸せそうな二人をみて、首を傾げる。
あいつの笑顔みたら、人が倒れるのか…?
すげーな。
俺は、この時初めて莉子を尊敬した。
まっ、俺がナンバーワンだがな!
莉子の方に振り返ると、メロンパンを一口で食べようと必死なやつが一人。
それを見て、大爆笑してるイケメンが一人。
その二人を呆れてみる女子二人。
…そして、それを客観的に見てる…俺!
「また莉子が馬鹿なことしてんな〜」
隣のクラスの千弘が来た。
クラスの女子の目が輝きはじめたのは、見なかったことにしておこう。
ま、こんな感じで楽しくやってまーす。
じゃっ、俺らの日常でっした〜。
スーパーヒーロー五郎様がお送りした!