ちゃら男くんの好きな子。




「ねえ!五郎〜。お願いだよ〜」



そして今、俺に向かって必死に手を合わせてるこいつ。


バカは全く変わってない。


莉子と話した事ねー奴は

「マジ天使…!」
「俺らなんかが話しかけても答えてくれないよな…。」

なんて言ってる。



まあ、莉子はこれっぽっちも気づいてないけどな。





「ちょっと!聞いてる?!五郎!」

「聞いてるよ〜ん。あげないよ、メロンパンは」

「そこをなんとか〜」



莉子が俺のメロンパンを目でロックオンしてる。

メロンパンは、莉子の大好物。

でも、これは俺の宝物なんだよ!



「五郎、パンぐらいあげてもやれよっははっ…」


「大輝!言ってやってよ〜」


「は?ただのパンじゃねーんだよ!」



大輝め…。

お前まで莉子の味方かよ…?!




「…もういいっ!」


莉子は、俺が全く目を合わせないようにしていると、

すねて美佳のところに戻っていった。

美佳と希良梨は呆れてる。




「おい!五郎!お前…なんで莉子様と仲いいわけ?!」

「まじずりぃ〜」



クラス奴が近づいてきた。

どっちも彼女持ちじゃねーかよ!




てか、…話しかければいいことじゃね?

普通に考えてそうだろ?


俺の天才的な脳を使わなくてもわかるだろ。




「俺らも仲良くなりてーな〜」

「ジュースおごってやんのにな〜」





…なんということでしょう。

この俺を、モノで釣ろうとしているではありませんか…。

そんなのに引っかかる俺様じゃ…。



「焼きそばパンもあげんのにな〜」
「やる」


俺は、かぶり気味に言う。

こいつらが持っていたのは、あの幻のパンだった。


焼きそばパンは、この学校で一年で限定3個しか売られていない。

俺は、そのパンを狙っているが、食べたことがない。

食べたすぎて、死にそうだったから、この誘いには乗らない理由がない。