先輩のことが気になり始めたのは、西谷に似ていたからなんだ。
先輩の笑顔が好きだったのも、アイツに似てたから。
寂しかったのは…西谷という存在がいなくなってしまったからなんだ。
…どんだけ惚れてんだ…あたし。
先輩への気持ちは…先輩にもらった好きとは違かった。
先輩は…あたしに好きな人がいるって…わかってた。
あたしよりも先に。
どれだけ、苦しかったんだろう。
あたしに、何ができるんだろう。
「よし。」
先輩が、優しくあたしを離した。
「俺はちゃんと自分の気持ち、言ったぞ?」
「…え?」
「大橋もちゃんと伝えろ。お前が幸せになってくれたら、俺は嬉しいからさ!」
「…はっい…っ…ぅ」
こんなに優しい人がこの世にいるだろうか。
こんなに自分より人を大切にする人がいるだろうか。
きっと、この世界で先輩だけ。
そんな気がする。

