ピーーーーー
試合が始まるホイッスル。
なんだか一気に緊張してきた。
先輩も陽光も表情が固い。
そりゃあ、先輩は最後の試合だもん…陽光だって、決勝戦だし先輩たちには笑ってほしいって言ってた。
『おねがいしゃす!!!』
男らしい両チームの挨拶で、会場は最高の盛り上がりをみせる。
先制点をとったのは、桜沢。
大地先輩の綺麗なスリーポイントが決まった。
かっこよすぎる…よ。
あんなカッコいい人とあたしは一緒に帰ったんだ。
なんて光栄なことなんだろう。
「…頑張れ〜、遥斗くん…」
隣で念を送っている美佳。
…なんか西谷、やっぱり調子悪い気がする。
シュートが入ってないわけじゃないし、二年にも関わらず自分がエースだとプレーが物語っているよう。
でも…シュートが入っても嬉しい顔してない。
あたしはあんな顔してバスケしてる西谷は見たくないって思った。
もっと本気で楽しんでほしい。
「…っ!」
そのとき、1階の西谷と目があった気がした。
気のせいかもしれないけど…西谷はこっちを見て悲しい顔をしてた。
…どうしたの?
試合はどんどん進んで、南校がリードしていた。
桜沢は必死に5点差を追いかけている状況。
そして…試合終了のホイッスルが鳴った。
桜沢は負けた。

