「大橋、今日も集まりだぞー」

「はい…」


文化祭へ向けて着々と準備が進む中、あたしの気分は真っ暗。


「ん?なんだなんだ!お前、最近まで集まりだぞって言ったら、飛び跳ねて喜んでたじゃないか…」


「…そこまで喜んでません…」


「ははっ、ちょっと盛ったんだよ。まあ、元気出せよ〜」



最近までのあたしは、先輩の横で集まりに出れるだけで、幸せだった。

同じ係で、よく話すようになったし。


だけどあの遊園地の日から、素直に喜べない自分がいる。

嬉しいのは変わらない。

でも、ドキドキじゃなくなってるんだ。





「〜♪」


あたしの隣で、ご機嫌にスマホを触ってる美佳。


いいなぁ〜はっきりした性格で…。

あたし…自分が嫌い…。




「大橋ー」



教室の入口から声がする。



「先輩!」


「迎えに来たー、行くぞ〜」

「は、はい!」



筆箱を持って、急いで立ち上がる。



「いい感じじゃ〜ん、迎えに来てくれるなんてっ!」


「…まあね…」




今は喜べる気分じゃない…。

今はっていうか…ずっと…。



先輩の隣を歩くのにも、少し慣れた。

注目されるのは、苦手だけど!



「楽しみだな、文化祭!」

「…ですね…」


「なんだ?元気ないな?」

「そんなことないですよ…?」


もっと上手に自分の感情を隠せたらいいのに。

下手くそ…。



「あ!そうだ…今度の大会来てくれんだろ?でっかい声で応援しろよな〜」

「ふふっ…がんばります」



小学生みたいにはしゃぐ先輩。

こんなふうに笑いあってても、あたしは上の空。


先輩たちの相手って、西谷の学校なんだよね…。


って、どうしようって迷うとこでもないじゃん!ばか!

 


「何一人で遊んでんだ?行くぞー?」

「は、はいー!」



このままじゃ、全然学校楽しくない…。

一年のときみたいになっちゃうよ…。


不安に押しつぶされそうです。