(遥斗SIDE)
「なんだ〜?西谷。なにニヤニヤしてんの〜」
「はっ?!あの無表情男がニヤニヤだとっ?!」
あのまさかのプレゼントから一週間後、大会の日。
俺は、もらった絆創膏を手首につけて、上からリストバンドをはめた。
なんか、こうしてたら元気になる気がするし。
眠気も冷めるし。
そして、不器用な大橋らしい下手くそなミサンガを足につけていた。
その途中で、このバカな先輩たちにからかわれてる。
「あ、まさか莉子ちゃんからかよ?!それ!」
「うわ…ずっりー。天下の莉子様もそんなもん作るんだな?!」
…うるさ…。
てか、下の名前で呼んでるし。
俺もまだ呼んだことないのに…頭の中でしか。
「ねえ、センパイ。…俺、必死になってるとこカッコいい?」
「「…はあああああ?!?!」」
俺のちょっとした質問に、すげーうるさい反応するアホなセンパイたち。
てか、これ言うの二回目。
「イケメンがなに言ってんだよ?!」
「そりゃ、女子からしたら…必死にやってるとこなんて、かっこ悪いだろ?!?!」
…やっぱ、そーだよね。
俺もそう思ってたし。
…ぷっ…大橋だけだろ。あんな変なこと言って、こんなもん渡してくんの。
あー。マジで…愛しいってこーいうもん?
今、すっげー感じてる。
「まあ、女子の場合はな!」
「…は?」
今度は、センパイたちがニヤニヤしてる。
「俺達は、楽しそうにバスケしてるお前が好きだぞ!」
「大好きだぞ!!」
…なにこれ。
…やっぱ、クソだこの人たち。
「…ごめん、無理。」
「え…え?!俺ら振られた?!」
「いやいやいやいや…まず告ってネーし!」
「大門寺だけだろ?!告ったの?!」
「はあああ?!俺かよ?!」
うるさい声を聞きながら、バッシュの紐をきつく結ぶ。
結び終わって立ち上がると、まだセンパイたちは討論?ってやつしてる。
「うそ。俺もセンパイたちみたいな人大好き」
俺は、ぽかーんってしてるセンパイたちを置いて、控室を出た。

