「いや、俺はただ挨拶をしに来ただけです。望愛さんとお付き合いさせていただいている野村遼希と言います」
「遼希くん、ね。いつも望愛がお世話になっています」
やっぱり長居するのはよくないな。
望愛を見るとビクビクしていた。
俺も正直いづらい。
演じているのがバレバレだ。
そろそろ実行しよう。
「あの、トイレをお借りしてもいいですか?」
望愛が行かないでという目で俺を見てきた。
「ああ、トイレならそこの扉を出て右に真っ直ぐ行ったところにある」
望愛の父親が言う。
「ありがとうございます」
俺は望愛の頭に手をポンと置いてうなずいた。
すると、望愛もうなずいてくれた。
俺は望愛を残してリビングから出た。

