「星莉様……、ご無理をなさってはいませんか?」
不安そうな顔をする桜庭に、私は首を振った。
「自分で決めたことだから」
結局は、私自身がこの道を選んだ。
長く続く人生において、結婚はすごく大切なもの。
……私だって、本当は青飛くんと結婚したかった。
だけど、私たち2人が一緒になって、幸せになる人は自分たちしかいない。
誰からも、祝福されることはない。
これでいい。
これからもずっと、青飛くんと過ごした日々が消えることは無いから。
例え一緒になれなくても、私は生きていける。
私の記憶に残る、色褪せることのない思い出。
一生に一度の恋だった。
『待ちなさい!!!ちょっと君たち…!!』
ドタドタッッ!!!!
「何かあったの?」
外から警備員の人らしき声と、多数の足音が聞こえてきた。
何やら騒がしい様子。
……胸騒ぎがする。