風になれ




「じゃーなーー!」


「おう!またなー!」




ちらほらと下校を始めたころ……。




「おーい!」



つばめの声に、また陸上部で集まった。







「翼、大学頑張れよ。」


俺の肩につばめが手を置く。




「おう、お前もな。」



つばめは東北に住んでいる爺さんのところで漁業を教わるらしい。

高校までは陸上をやりたかったから水産高校には入らなかったらしい。


だけど、つばめもこれで陸上とさよなら………。





「まー俺は、そこの陸上クラブのコーチしたいから陸上とちょっとは繋がんだろーけどな。」



忘れてた。

こいつ、爺さんの地元の陸上クラブでコーチになれるように役場に申請しに行くとかゆってたな。



冗談かと思ってたけど、まじだったらしい。





「じゃあ、陸上から離れんのは、お前だけか?」


「あ、有姫は?」


東の言葉に涼々が聞いた。




「あ、私は、東邦大学でマネやろっかなって……。」



東邦大学。


樹先輩が行ったところ……。




陸上から離れるのは俺だけか……。





「涼々は、どーすんだよ結局。」


つばめが聞いた。




「秘密だって!ちゃんとわかるはずだから待ってて!」



涼々はそれだけ言って笑った。





涼々の進路を知ってるやつはいない。


まあ、先生には言わなきゃいけねーけど、

『個人情報なので言えない!』

なんて言われたら聞き出すわけにもいかねーし。





涼々はどこに行くんだろうか………。










それから5分くらい話して、



「じゃーな!また!!」



それぞれの帰路についた。







「翼……。」


「ん……?」



帰りの電車の中、涼々が口を開いた。





その重そうな口調から、何か深刻な話をするのかと思ったけど…………。





「私がこれからどーするか、知りたい?」




顔を上げた涼々はそんなことを言った。





「まぁ、教えてくれるなら?」



そう言うと、涼々は手招きをし、俺の耳に顔を近づけて………







「あのね……………………」








涼々の言葉に思わず目を見開いてしまった。